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2006年6月18日 (日)

昔話・リタ婆ちゃん編

これは、6年前にワーキングホリデーでパースにいた時、
看護エージェントから看護助手の仕事をもらって働いていた時の話です。 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

むか~~し、昔、ある日の朝、エージェントから仕事の電話が来た。
場所はフリーマントル。電車で一本だから行きやすい。

「2時から9時までで、1対1のお世話なんだけど」と言われて即行OKした。

時間どうりに病院に着き、病棟に行くと、看護婦さんが1人のリタと言うおばあちゃんを紹介してくれた。
おばあちゃんに自己紹介すると、看護婦さんは「じゃあ!!」と

どっかへ行ってしまった。

「・・・・・。」

しばし呆然とする私。

私は何をすればいいんですか?看護婦さんはそのことについて一言も触れなかった。

リタは私に病院中をまわって案内してくれた。
ここの病院はとても大きくて9階建
てだった。
5階にはテラスと売店があり、そのテラスからは海が見えて、とても奇麗
だった。
リタは左手を骨折したらしくギプスを巻いていた。
でもしっかり歩けるし、見た目何も
介助する必要性はないと思えた。

ぐるぐると病院を歩いて回るうちに、だんだんとわかって来た。

      リタは老人性痴呆なのだ。

歩いていても、自分がどこから来たのかすぐに忘れてしま
う。
今来て帰った道をこっちかな?といってとことこと歩いていく。
「私たち道に迷ったみたい。」と、うろうろしているリタと私。

病院はリタの為に私を雇ったのだ。
そーだよな~、リタはどこに行った?といちい
ちみんなで探してたら仕事にならないもの。
でも、日本じゃ考えられないと思った。

私の働いていた病院では、家族に付き添ってもらっていた。

リタはとっても話好きで色んな事を話した。
でも話しの半分は同じ事の繰り返しだっ
た。
私にはそれが反って良かった、だって1回じゃ話の内容がつかめないもの、
時々何言っているか分からなかったけど、私はただウンウンとうなずいていた。
リタにとって私が話を理解しているかどうかはどうでもいい事で、
ただ聞いてくれ
てればいいように思えた。
私は2時から9時の7時間のあいだに名前と国籍を4~5回は聞かれた。
私が日本から来た事、日本で看護婦をしていた事、オーストラリアの医療に興味がある事などを話すと、リタは熱心に聞いてくれた。
「そう、あなたオーストラリアで看
護婦になりたいの・・・。何とかしてあげたいけど私には助けてあげられる事は、何もないみたい。ごめんなさいね。」
と真剣な顔で話すリタはとてもキュートだった。

でも3時間もすると「あなた、もう帰っていいわよ。また明日来てちょうだい。」
と、
部屋から追い出されてしまった。
でも私は、9時までここに居なくてはならない。
どうしたものかと、ナースステーションに行って看護婦さんに聞いた。
「あの・・部屋追い出されちゃったんですけど、私どうすればいいですか?」と。
「あら、そう。」と看護婦さんはリタの部屋まで一緒に付いていってくれて、何とか取り繕ってくれた。
私は何度か部屋を追い出され、この繰り返しだった。

でもちょっとたつと、リタはその事も忘れてしまっていた。

8時近くになると、もう限界と言った感じで、
リタは「もう帰ってちょうだい、また明
日ね。」とベットに入ってしまった。
それからの1時間、私は廊下に椅子を置き雑誌を見ながらリタが部屋から出てこないか目を配るように看護婦さんにいわれて、ずっと廊下で過ごした。
看護助手って、お下の世話とか、食事介助や、入浴介助をメインにするのだと思っていた私にとって、この仕事は意外だった。

でも、とてもいい経験になったと思う。

きっと、リタは私が来た事なんてすっかり忘れているのかな。

でも私は覚えているから、いいか。


けい

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コメント

kayさん、こんばんは♪
というか…お久しぶりです☆ずっとご無沙汰していてすみません(^ ^;
さてさて、リタおばあちゃん。ここの記事を読む限りではとっても可愛い
おばあちゃんですが…でも看護師としては大変なんでしょうね(- -)
でも痴呆のおばあちゃんのために、誰かを雇ってしまうあたりが
いかにもオージーというか、日本との違いを感じさせられます。

そうそうkayさん、みかんちへのコメント&アドバイスありがとうござい
ましたm(_ _)m 最近落ち込んでいたので、同じコースの先輩の
keyさんからコメント頂いて、とっても考えさせられました。
もうちょっと頑張ってみることにします♪

投稿: みかん | 2006年6月18日 (日) 18時06分

<みかんさん>
コメントありがとうございます!
リタばあちゃんのことは今でも覚えています。
すごくかわいかったですよ。この痴呆の患者さんの見張り役として雇うお金がどこから出ているのこはいまだにはっきりしないんですけどね。
少しは元気になられたようで、良かったです。
留学前、出国直前まで本当に悩みますよね。 秋田の家族や友達に送り出された時、「この電車を今降りれば引き返せるのかも」とすごく葛藤した思い出があります。 でも、踏み出してしまえばあとは前に進むしかないのでね。 大丈夫ですよ! 私にできて他の人にできないことはないと思います。 また、遊びに来てくださいね。
けい

投稿: Kay | 2006年6月19日 (月) 21時32分

はじめまして、初めてコメントさせていただきます。いつも興味深くブログ
を読ませてもらっています。
私、kayさんと同業者で9月頃パースにワーホリビザで入ろうとたくらんでおります。ホリデーを楽しむのがメインですが、オーストラリアの看護に興味、正確に言うと日本以外の看護に興味ありです。看護助手の仕事もできれば体験したいと考えているのですが、看護エージェントはすぐに見つかるものなのでしょうか?英語は、、、、、な状態なのですが。
看護助手の仕事に関するワーホリ時代の情報を教えていただければ幸いです。

投稿: yas | 2006年6月20日 (火) 13時04分

リタさんのお世話をしてくれて、ナースも助かったのではないかしら
私の働く病棟では、この前までsitterと呼んでいましたが、最近名称が変わりSpecial Care Attendantになりました
1:1または1:2です

お手洗い、食事、徘徊など、付きりで看てあげなくちゃいけない患者さんの場合、本当にありがたいです
(安心して他の患者さんのケアにあたれるので)

お疲れ様でした☆

投稿: tisane | 2006年6月21日 (水) 23時39分

<Yasさん>
コメントありがとうございます!
いつも遊びに来ていただいているようで、ありがとうございます。
ワーホリでパースにこられる予定なのですね。
パースは小さいけど、素敵な町ですよ。
看護エージェントのご質問ですが、土曜日の新聞に載っている求人広告、インターネットなどで探す事ができます。 パースにはどれぐらいあるのかな?ちょっと数までは把握しておりません。 看護エージェントの登録は英語力のほかにその時のタイミングもあると思います。
エージェントの数も1~2個じゃないので、もし、1個が駄目でも次!!とめげずにチャレンジしてみてくださいね。
ちなみに、その当事の私の英語力は語学学校でIntermediate(中級)で卒業でした。英語力は仕事してからの方が伸びたと思います。
右のカテゴリーの欄の中に「看護助手のお仕事で使う英語」というのがありますので、参考にしてみてくださいね。
エージェントの事についても、近いうちにUPしたいと思います。
もし何かわからないことがありましたら、個人的にメールいただければもっと詳しくお答えできると思います。
ホリデーを思いっきり楽しんでくださいね!!
けい

投稿: Kay | 2006年6月22日 (木) 09時55分

<tisaneさん>
コメントありがとうございます!
こちらではGuardと呼ばれているらしいです。
本当にこういう職業の人がいると看護師的にも安心して他の仕事に当たれますよね。アメリカにもこういう仕事があるのですね。
私も多い時は一度に2人の患者さんをGuardしたことがあります。
看護助手としてはすごく体力的にらくちんな仕事な方だと思いますが、
やっぱりコミュニケーションが主となると精神的に辛い物がありました。
これも経験のうちですね。
けい

投稿: Kay | 2006年6月22日 (木) 10時03分

心強い言葉、ありがとうございます。
また、後日メールさせてもらいます。

それと、素敵な詩に感激して私も YES, I CAN 購入しちゃいました。じ~ん、ときますね。

投稿: yas | 2006年6月25日 (日) 23時18分

<Yasさん>
コメントありがとうございます!
今、エージェントの事について記事を書いているところなので、もう少しお待ちくださいね。
Yes、I CAN.いいですよね。
この本は実は私が出国の際に成田に行く途中で友達がトイレを借りに本屋に寄った時に偶然見つけた本で、
出国にあたり、不安になっている私のすごく支えになりました。
けい

投稿: Kay | 2006年6月26日 (月) 00時13分

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