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2008年7月20日 (日)

母とコーヒーと私

今日は母の命日。

母が肺がんでこの世を去ってから、丸5年になる。

この五年間、どうしても忘れられないことがある。

どうして、あの時あんなことを言ってしまったんだろう?

と後悔をしていることがある。

母が亡くなる2ヶ月前に私はそれまで勤めていた東京の病院を退職し、秋田にいる両親の家に引っ越した。

引っ越してからすぐに、母は肺炎を患い近所の病院に入院した。

抗生剤の投与のおかげで1週間で退院できたが、在宅酸素使用が不可欠となり、台所に立つ体力もなくなっていた。

引っ越してからは3度の食事の支度、その他家事全般は私の仕事となった。

その週は東京から兄が仕事の休みを取って遊びに来ていた。

久しぶりに家族全員が集まる、食卓も賑やかだった。

我が家の朝食のメニューはいつもコーヒーと自家製のパンと決まっていた。

母はコーヒーにもこだわりがあり、豆はいつも『ハイマンブレンド』でそれも毎月横浜のコーヒー店から郵送してもらっていた。

豆をミルでひくのはいつも兄の仕事。

母はあのコーヒー豆を引く音とコーヒーの入れたての香りが大好きだった。

その朝もいつもと変わらず、私が朝食の支度をして、兄を起こした。

兄はいつものように豆をひき手際よくコーヒーを入れる。

母が酸素吸入機の長いチューブを引きずって起きてきた。

「ご飯できたよ。早く食べよう。」

席に着くのを促すと、もう既に食卓に淹れて置いてあったコーヒーポットを見て母が言った。

「コーヒーを入れなおして頂戴。」

私はその一言に年甲斐も無くカチンと来てしまった。

「入れたてのコーヒーが飲みたいの。こんなんじゃもう香りが飛んじゃっているじゃない。」

え? と母の顔を見る兄。

むっとする私。

「もういいじゃない、もったいない。そんなに変わんないよ!明日からはちゃんとお母さんが起きてからコーヒーを入れるようにするから、今日はこれで我慢して。」

それ以上、口を利きたくなかった。

わがままにもほどがある!

と、すごく頭にきていた。

その2ヵ月後に母はこの世を去った。

あの時どうして淹れなおしてあげられなかったのだろうとすごく後悔している。

その後、数えるぐらいしかこのコーヒーを愉しむことが出来なかったのに。

その日その日の朝のコーヒーをどれだけ楽しみにしてたのかも知らないで、あんなにひどいことを言ってしまった私。

ごめんね。 お母さん。

天国でもコーヒーを愉しんでくれているといいなぁ。

  けい

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コメント

すごく切ない話ですね…。
やはり過去を思い出して、あの時こうすれば良かった、こうしてあげれば良かったと後悔する事が多々ありますが、それが亡くなった相手に対してだと倍増ですし、それが大切な人だとより強くなりますね。
私も母を亡くしてますが、私が生まれた時からほとんど入院してたので、母との思い出があまりありません。
ですから、こうしてあげれば良かったというのもそんなにありませんが、それでも病気の身体で必死で産んでくれた母の為にも、辛い事があっても必死で生きていこうと思ってます。
天国で見守ってくれている母の為にも、お互い幸せになりましょうね(*^_^*)

投稿: Dora | 2008年7月20日 (日) 09時08分

<Doraさん>
コメントありがとうございます。
母のこのエピソードは今でもたまにコーヒーを飲むと思い出します。
この間は久しぶりに母が夢に出てきました。
仕事で「血圧高かったから今昇圧剤飲ましたから。」と母。(母は生前看護師でした)ぁ、そう、じゃあもう少ししたら血圧測らなきゃね~なんていっている夢でした。
母との思い出がある分私は幸せなのかもしれません。
母のためにもおいしいコーヒーを飲もうと思います。(笑)
後悔はあるけれど、母の子に生まれてよかったと言う気持ちはDoraさんと一緒です。
けい

投稿: Kay | 2008年7月20日 (日) 20時38分

大切な人を亡くしてああすればよかった・・・と後悔してしまうのは、亡くしてしまった人をすごく愛しているからこそだと思うんです。
そんなKayさんの様子をお母さまもきっと天国でコーヒーを楽しみつつ、微笑みながら見守っていらっしゃると思います。

投稿: H i | 2008年7月21日 (月) 06時03分

<Hiさん>
コメントありがとうございます。
母を亡くしその「母」と言う存在の大きさを思い知らされています。
こんな時、母がいてくれたら・・・と今でも思います。きっとこれからもそう思い続けると思います。
こんな私でもいつか自分が母親になる日が来ればいいなと思います。
そしたら今以上にもっと母を好きになると思います。
楽しみです。
けい

投稿: Kay | 2008年7月21日 (月) 09時36分

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