« ゆきの物語 | トップページ | フィットネスブートキャンプを始めました! »

2013年5月 6日 (月)

異国の地で・・・

今回は珍しく、仕事の話だよ!!

もし、あなたが言葉も通じない異国の地で病気になったらどうしますか?

今日は日勤で、病棟に行くとスタッフが余っているとのことで、他の病棟にヘルプに回された。

ヘルプに行った病棟はAAU(Acute Assessment Unit)で急性期の病棟。

日本にはあるのかわからないけど、救命救急病棟(ED)から入院してきた患者はこのユニットを経て内科、循環器、呼吸器など各課の病棟にまわされる。

いわば、なんでも病棟で患者の出入りも多く、かなり忙しい(イメージ)。

ここにヘルプに行くのは初めて、ドキドキしながらAAUに行くと、いきなり1:1看護の患者を持たされた。

患者さんはKさん、女性27歳。

疾患名は肺炎。

既往歴にMS(多発性硬化症)があり、誤嚥性の肺炎の疑い。

彼女の出身はアフガニスタン。

8年前に難民としてオーストラリアに家族と一緒に来た。

そして、6年前にMSと診断される。

最初は自宅で家族が面倒見ていたんだけど、両足の麻痺、右手の筋力低下もあり家では介護しきれなくなり、介護施設に入所。

普段は電動車椅子で日常生活を送っている。

言語はアフガニスタンで話される現地語のみで、英語は話せない。

深夜勤のナースからの申し送りでは、英語が話せないので、コミュニケートがすごく難しい。

こちらの言っている事は少しは理解できるみたいだが、彼女は英語が話せないので、彼女の言っていることがわからず、意思疎通ができず、彼女がイライラ。

説明しても理解できないから、呼吸を助ける為の吸引や経鼻エアウェイなども3人がかりで抵抗する彼女を押さえつけてしなければならなかったと。

だから、スタッフに噛み付こうとしたり、殴ろうとしたりするから、気をつけて。。。と。

体の自由が利かないから、とっても依存的。

敬虔なイスラム教徒だから男の看護師は拒否。

酸素がマスクで7Lで酸素飽和度は97%、マスクを取ると酸素飽和度は80代にまで低下する。

抗生剤の点滴、2時間おきの吸入、1~2時間おきのバイタル測定、体位変換などなどなど、、、まさにフルケアで、

様態も悪くとても手のかかる患者なので、1:1の看護なんだと。

申し送りを受けた時は彼女も夜もろくに眠れずに疲れたのか?うとうとしていて、様態も落ち着いて見えた。

自己紹介をして、バイタルを測って、抗生剤を投与する。

血圧は少し低めだったが(上が90台)他のバイタルは異常なく他の症状もなかった(持続点滴も投与中だった)のでチャージナースに報告し早めにDrにレビューしてもらえるように頼んだ。

今の段階では嚥下も困難なので禁食。

口腔ケアと清拭をベッド上でする。

あれ、これと支持する彼女。

でも、すべてアフガニスタン語だから、意味なんて当然わからない。

身振り手振りや彼女の表情を見ながらどうして欲しいのかを察する。

言葉が通じないもどかしさは外国人の私が一番知っている。

ましてや具合が悪かったら、もっと切ないだろう。

清拭が一段楽したところでバイタルを測ったら、血圧が80台までに低下。

ちょうど、チームドクターがいたので、Drの支持で点滴を追加。

90代まで持ち直すが、またまた血圧低下。

体を横にしたいけど、横になったら血中酸素飽和度が下がる。。。

点滴の追加追加で血圧は持ち直したが、今度は酸素飽和度が低下。

酸素15Lまであげても、SAT88~92%。

チェストフィジオ(呼吸理学療法士)、チームドクター、呼吸器科のドクターが入れ替わり立ち代りに来て治療に当たるが、英語での意思疎通ができないため、彼女の主観的な状態を知ることができない。

お昼近くになって、彼女の母親と弟が病院にやってきた。

彼女の弟は英語を話せるので、通訳をしてもらうことにした。

この母親がとても頓珍漢で、、、、呼吸理学療法士に「背中をこうやって、とんとん叩けばいい!」と支持したり、 Drに「薬を昨日から飲んでいない!」

《とても飲み込める状態ではないのんだよ!!》(静脈注射できる薬はすべて投与している。) と言ったり。。。。

「娘はご飯を食べていない。ご飯を食べれば、元気が出るのではないか」と通訳の弟の口から出たときは、その場にいた医療者全員で顔を見合わせてしまった。

そんな状態じゃないんだよ!! お母さん!!

Dr「お母さんに彼女(Kさん)は混乱している状態ですか?と聞いて。」

弟「娘の手が冷たいと言ってる。」

ドクターが母親に質問してもその答えも的を得ない。。。。

  こりゃあ、大変だわ。。。



結局、通訳を緊急で呼んで、患者と家族に現状と治療の説明をしてバイパップという呼吸補助機をつけることになった。

私が帰る頃にはNOSAと呼ばれる病棟(ICUのステップダウンみたいなところ?1人のナースに受け持ち患者が1~2人で集中的に経過を観察する)に転棟していった。

こんな若くにして、異国の地で難病になって、体の自由も利かなくなり、言葉も通じない。

宗教も文化も違う、母国に帰りたくても国自体が帰れる状態ではないし、母国で全うな医療が受けられるのかも疑問だ。

彼女は何を思っているのだろう?

まぁ、そばに家族がいるだけまだましかもしれないけど。

やっぱり、健康が一番だとつくづく思った。

そして、私が将来ボケた時のためにも、子供達にはしっかり日本語を教えようと思った。

けい

|

« ゆきの物語 | トップページ | フィットネスブートキャンプを始めました! »

コメント

あちゃ~。これはすさまじい。
ワタシも上手くはないけど米国やヨーロッパ、または台湾で
英語か中国語でなんとかかんとか最低限のことは説明して生きてきたもんだけど…。米国と台湾で歯医者さんに行ったことあるよ。どちらも知人のホームドクターだったためかすごくやさしくて、ものすごく丁寧にやってくれたよ。ワタシが言葉がわからないと思って図まで書いてくれたりしてね~。
ほんと健康第一ですよ!

投稿: meiko | 2013年5月 7日 (火) 20時12分

<Meikoさん>
コメントありがとうございます!
本当に、その国の言葉を勉強することって大事だと思う。
この患者さんも8年もいるんだから、もうちょっと話せてもいいようなものなのに、、、色々事情があったのでしょう。

ここ、オーストラリアでは、英語が話せない人が結構多い事を働くようになってから知って、驚いたんだ。

だって、イメージからして、英語圏にいる人ってみんな英語はなせそうジャン。

健康第一!
本当にそうだよね。
あとは、ぼけても大丈夫なように、子供たちの教育に力を入れます!

けい

投稿: Kay | 2013年5月 9日 (木) 23時30分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/29713/51522258

この記事へのトラックバック一覧です: 異国の地で・・・:

« ゆきの物語 | トップページ | フィットネスブートキャンプを始めました! »